幻のダンボールカメラ (2)

スペックは謎だらけ

撮れるのは1280 x 960 縦横比4:3 120万画素程度の画像。何しろレンズの焦点距離やF値、撮像素子のサイズ等の仕様が全く公開されていないのでその程度のことしかわからない。画像の周囲に昔のフィルムプリントのような白い枠がつきます。

ISO値も不明だが、室内や夕方以降に撮影すると実用にならないほどブレるので、せいぜいISO100程度であることがわかる。明るい屋外撮影専用である。何しろこのカメラは設定項目が全くないので、ISO設定やホワイトバランス設定がどうなっているか全くわからないのだ。

もちろんレンズは単焦点。固定焦点でありAFなどもちろんない。

 

動作は不安定

PCに接続してカメラのフォルダを読むと、容量はたったの16MBしかなく、しかも残量は1.5MB程度だと表示される。画像をすべて消去してもPCに表示される残量は増えない。記録されている画像は読み取り専用扱いになっているので、PCから消去することはできずカメラの「消去ボタン」を押して一括消去するしかない。

消去したはずの画像がなぜか現れたり、突然撮影不能(画像が書き込まれない)になったりするなど、動作は極めて不安定。中国製トイカメラの域を出ない製品である。これは実用品として使うカメラではなくオブジェとして鑑賞するカメラである。

製品コンセプトとデザインはIKEA側によるものなので極めて優秀なのだが、IKEAは家具屋さんなので肝心のカメラ部(基板)の開発は外部(おそらく中国)に委託している。不安定な動作はソフトウエアの更新で解決できるはずだが、なかなか思うようにならないのが中国OEMの常である。販売が見送られたのは動作を安定させることができないと判断してのことだったのかもしれない。

 

実写結果

性能を語るカメラではないのですが、一応実写結果を。明るい屋外なら、一応写ります。画像クリックで原寸大画像が開きます。

 

初めからカメラに入っていたサンプル画像らしきもの。

 

以下は私が実写したものです。

 

 

 

 

トイデジカメという幻

デイカメは前世紀末に現れ今世紀になって急速に普及した。従来のフィルムカメラに置き換わった「主流デジカメ」に対し、「トイデジカメ」というジャンルが少しの間存在した。今でもトイデジカメは無いというわけではないが、存在意義を失っているので無いに等しいというべきか。

当初は主流デジカメは高いものだったので、性能・機能を割り切った「安物デジカメ」がホームセンターや通販などで売られていた。おもちゃのように作ろうとしたわけではないかもしれないが、おもちゃ程度のものとしか認識されていないので、トイデジカメだと考えて良い。そのうちデジカメの低価格化が進み一流メーカーの名前が付いたローエンドのズーム付きデジカメが1万円以下で売られるようになると、この種のトイデジカメは存在意義を失って消えていった。本ブログ中の日立デジカメシリーズをご参照下さい。

その後、意図的にチープ(粗悪)に作ったトイデジカメが現れた。奇をてらった外観にしてみたり、操作性を無視して非常に小さく作ってみたり。これはもはやカメラとは言えずファンシーグッズであった。デジカメが物珍しかった時代は「それ、何?」といった具合に人の耳目を引くこともできた。

トイデジカメに完全に終止符をうったのは携帯電話だった。今や携帯電話を持っていない人の方がめずらしく、カメラの付いていない携帯電話を探すことは困難である。現代の携帯電話内蔵のカメラはトイカメラより良いというようなレベルではなく、本格的なデジカメと張り合うレベルになっている。元々携帯電話のカメラ機能はおまけであり、カメラ付き携帯電話自体がトイデジカメの一種だった。今では携帯電話の売り文句がカメラの画質である。(通話品質や操作性では商品アピールができない状態になっている。)皆が高画質のカメラ(携帯電話)を持ち歩いている状態で、トイデジカメなんか持っていても人の耳目も引けない。

KNÄPPAが安物トイデジカメにIKEAのロゴをプリントしただけのものだったらノベルティグッズとしても要らないと言われていたと思う。これほどしっかりしたデザインだから話題にもなったわけだ。もし安く市販されていたらIKEAファンの人は「ネタで」買ったと思う。ただ買っても部屋の飾り目的だったろう。今時トイデジカメを持ち出されてうんちくを語られても聞かされた方がうんざりするだけである。多くの人にとってデジカメは携帯電話の一機能に過ぎず、半バーチャルなものだからだ。

KNÄPPAが話題になった最後のトイデジカメだったと言っても、あながち間違いではないと思う。もうトイカメラという製品ジャンルは幻なのだ。

 

 

 

 

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