闇に隠れて生きる 日立デジカメ (6)

日立デジカメ もう一つの系譜

前話で私はHDC-W902を最後に「日立デジカメ」の歴史が終わったと書いた。実はこれは少し補足する必要がある。正確には「日立CMOSデジカメ」の歴史が終わったとすべきだ。

私は日立デジカメを愛している唯一の人間で、こんなものを収集・研究している人は他にいないと思っていた。ところが最近「私も7台持っています」というお便りを頂いた。この闇に隠れたコラムを読んでいる人がいるというのも驚きだが、他に収集している人がいるというのは驚いたら良いのか悲しんだら良いのか・・・この方はHDC-401を取り上げてほしいとのこと。「今までHDC-401が出てこなかったのはなぜ?」という疑問はごもっとも。これについて語るには、日立デジカメのもう一つの系譜について説明する必要がある。

日立デジカメのビジネスモデルは、非常に程度の低いOEM製品に日立のブランドを付けて、表だったルートではなく目立たない場所で、デジカメのことがよくわからない人に売るというものである。どこかにCMOSカメラを安価で供給するOEM元があり、それがこのビジネスモデルとぴったりだったので10年間の長きにわたり販売が続いたのだ。今までこのコラムで扱ってきたのはすべてCMOSカメラである。これが日立デジカメの本流であると言って良い。

ところが実は日立デジカメにはCMOSカメラ以外の系譜が存在する。CCD撮像素子を持ったカメラも何種類か発売しているのだ。しかし日立(日立リビングサプライ)が一般的なCCDカメラを販売したところで他の優秀なデジカメメーカーに対して有利なことは一つもない。当然日立のCCDデジカメはCMOSデジカメに比べて販売量が極端に少ないという結果になる。世間で本流のCCDデジカメが、日立では傍流なのだ。

HDC-W902の販売が終了した今でも日立リビングサプライはCCDデジカメの販売を継続している。現行で他社が行っている事業についてこのコラムで語ることはできない。ここはあくまで「世界の果てにあるカメラの話」をする場所である。

 

国際兄弟

しかしここでHDC-531という日立CCDデジカメについて少し語ることにする。日立デジカメの中で極めて異質な存在であり、発売も2005年と大昔なので、話題にしても構わないだろう。日立リビングサプライのような自力で開発していないメーカーは、逆に突如としてレベルの高い製品を出すことがある。要はそういう話をOEM元から持ちかけられるかどうかというだけのことだ。HDC-531は500万画素のCCDセンサを持つ機種で、レンズも光学3倍ズーム、もちろんAFも搭載している。デザインや外装の質感も当時のデジカメの平均水準をクリアしている。要するに「いつものOEM元」が供給したものではないのだ。

 

HDC-531

 

こんなレベルのデジカメが日立リビングサプライ専用に開発されるはずはない。元ネタはどう見てもこれである。

 

KONICA MINOLTA E50

 

2005年と言えばコニカミノルタがデジカメ事業から撤退した時期である。最期の製品が日立ブランドで出たと言うことは・・・・まあ色々な事情があったのだろう。面白いのはこの機種は世界中に兄弟がいることだ。

 

Rollei PREGO dp5200 (ドイツ兄弟)

 

PREMIER DS-5330 (台湾兄弟)

 

BENQ DC E53 (台湾兄弟)

 

・・・・本当に色々な事情があったのだろう。もちろんHDC-531は単発で忽然と現れた機種であり、後継機も現れず消えて行ったのである。

 

第7話に続く

 

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