闇に隠れて生きる 日立デジカメ (4)

気違い兄弟

あなたの家族や親戚にも、一人や二人は思い出したくない人がいるだろう。一族の中でその人の名前が出ると、皆が黙ってうつむいてしまう。ダメ一族にもそんな人が二人ほどいる。私は彼らを他に言葉がみつからないので「気違い兄弟」と呼んでいる。一人目はこれだ。

 

HDC-52K 気違い次男

 

私はこの機種はカメラ史の中で一番程度が低い部類だと思う。ただみっともない。

中国の街角を歩けば、いまでもこういったデザインの雑貨に出会うことができる。しかしそれらは一流のデザインに触れる機会も無く十分な資本を持たない小さな工場の人たちが何とか人目を引こうと努力した結果の産物である。考えようによっては清々しい。

また、カメラ史上(特に東欧や中国には)性能やデザインが稚拙なものは多く存在する。しかしそれらはどうしようもない外的要因から生じた産物であり、よく見れば工夫や可愛らしさが見つかるものだ。

見てわかる通り、これは本質的にHDC-509と同じものである。21世紀が10年過ぎようとしている頃、こんな技術レベルのカメラに大企業のブランドをつけて販売すること自体どうしようもない話だが、ピンクに塗ってプラスチック玉を貼り付ければギャル(半死語)が小遣い銭で買ってくれると思ったのである。そこにカメラ作ろうとする美学など全くない。こんなものを実際にギャルが何台買ったか知らないが、ギャル以外で買うのは林家ペー・パー夫妻ぐらいであろう。

このレンズカバーに取り付けられたプラスチック玉だが、目を近づけて見るととんでもない代物だということがわかる。

 

 

何と一個一個手作業で貼り付けられているのだ。このプラスチック玉、数えてみたら113個ある。どこか異国の工場の人がプラスチック玉をピンセットで113回つまんで作業したのである。不揃いで接着剤もはみ出しており、到底カメラ外装と言える仕上がりではない。作業した人に罪はなく、やらせた人のレベルが低いのである。

 

さて、「気違い兄弟」の二人目がこれである。

 

HDC-50GDX 気違い三男

 

・・・・何だこれは?

まず最初に、レンズカバーが無くなってカメラの全体形状が一世代前の「不幸三兄弟」に戻ってしまった。形は第二世代だが、撮像素子は500万画素であり、背面ボタンの配置からしても第三世代「ダメ一族」の一員である。

 

 

さて、全体形状などはどうでも良い。問題は前面の竹カゴのような立体柄である。カメラデザインの概念を飛び越えている。今まで見たことがないし、これからも模倣されることは決してないだろう。このデザイナーが竹カゴ柄をカメラの表に付けて皆が喜ぶと思うのなら、同じ柄をあなたの家や車にも付ければよい。

ちなみにこの竹カゴ柄、指にひっかからず滑り止めの機能は全くない。

 

2015年3月補足

「気違い兄弟」は二人だけだと思っていたが、HDC-52Kの外装違い機種HDC-51Kの実在が確認されたのでここに補足しHDC-51Kを「気違い長男」とする。気違いと言うほどのインパクトはないが、HDC-52Kの双子なので「気違い兄弟」に分類した。

 

HDC-51K 気違い長男

 

 

日立リビングサプライのWEBページではごく初期の製品から最新の製品までのマニュアルやカタログがダウンロードできるのだが、なぜか気違い兄弟の資料は見つからない。

気違い兄弟を最後の打ち上げ花火にして、日立のデジカメ第三世代は終了する。・・・皆さんの悪い予感の通り、この後第四世代が登場する。

 

第5話に続く

 

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