3Dデジカメ レクイエム(3)

トイデジカメも現れた

はっきり言って3D写真をメインにする人などいない。たまに遊びで撮ってみようという用途がほとんどだろう。だから3Dデジカメは本来トイデジカメに向いているように思う。本格3Dデジカメにと比較すれば3D-COOLはトイデジカメに属すのかもしれないが、基本性能をちゃんとおさえた立派な造りなので元値は20,000円程度だったと思われる。(おそらくその価格で販売されたことはないが。)トイデジカメとして遊びで買うには少し高い。

今回の話題はタカラトミー製の3D Shot Cam。発売は2011年である。トイメーカーが発売した生粋のトイデジカメである。

 

3D Shot Cam

 

非常に賢い製品

先に言っておくが、3D Shot Camは商業的に失敗した。元値は6,000円程度らしいのだが、2013年8月現在Amazonでピンクのものが配送料無料・1,000円前後で売られている。(なぜか白は倍の2,000円ほどする。)売れなかったという意味ではダメ製品なのだが、企画としては非常に賢い製品だと思う。3Dムーブメントという泥船に乗ったことが根本的な失敗だったのだ。

3D Shot Camは価格の安いトイカメラなので、液晶パネルは搭載しておらずカメラ本体で撮影した画像を再生することはできない。それどころか何枚撮ったかも、あと何枚撮れるかも確認できない。撮った画像を消去することもできず、ただ新しい画像を記録することしかできない。しかし記録媒体は汎用のSDHCメモリーカードであり画像一枚あたりのデータ量も500KB以下なので、2GBのメモリーカードを使っても数千枚撮影できる。つまりどんどん撮ってPCにコピーして使えば良いので、実用上の問題は何もない。

さて、3D Shot Camで撮った画像はMPO形式ではなく普通のJPEG形式で記録される。以下がその画像である(クリックでフルサイズ)。

 

3D Shot Camによる撮影データ

 

注意すべきことは、撮影した2枚の画像だけでなく白い余白部分や黒い横線も含めたすべてが1枚のJPEG画像として記録されていることである。もうおわかりだと思う。このカメラは撮った画像を3Dテレビ等で再生することなど全く考えておらず、L判にプリントしたものを付属のビューアで楽しむという趣向なのだ。画像全体のサイズは1526pixel x 1068pixel。各の撮影画像部分は540pixel x 404pixel、つまり20万画素強しかなく、通常のデジカメ画像のように鑑賞するには全く耐えない。しかしこの画像をL判にプリントすれば解像度は約300dpi となり、丁度良い値(※1)ということになる。

プリントを付属の紙製ビューアにセットすれば3D映像として鑑賞できる。この紙製ビューアは単体で別売りされており、畳めばグリーティングカードのサイズになるので、「3Dグリーティングカード」として贈ることができる。極めてエレガントな商品企画で、賞賛に値する。カメラ本体・ビューア共デザインは秀逸で、あきらかにできる開発グループの作品である。問題は消費者が思ったほど3D映像というものに興味を示さなかったことだ。繰り返すが、3Dムーブメントという泥船に乗ったことが根本的な失敗だったのだ。

 

デザインも楽しい紙製ビューア

別売りビューアもデザインバリエーションが豊富

 

※1 一般的に印刷では300dpiの解像度があれば十分で、それ以上は違いが良くわからないとされる。写真のプリントもL判は4baseという規格で処理されることが多く、この場合解像度が約300dpiとなる。L判の大きさは127mm x 89mmなので、300dpiを得ようとすれば1500pixel x 1051pixel の画像が必要である。3D Shot Camはまさにこの値に合わせて設計されている。

 

第4話に続く

 

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